Piano Concertos No. 17 In G Major K. 453; No. 26 In D Major K. 537 “Coronation”

by Wolfgang Amadeus Mozart

Hans Richter-Haaser; Philharmonia Orchestra; István Kertész;

本格派仕様。〝癒やしのモーツァルト〟と宣うもの、クラシック音楽の入口に立つものは幸せものだ。

ハンス・リヒター=ハーザーのピアノは、巧言令色でもなく、変に奇をてらうこともない。厳格なわけでも、物々しいわけでもない。鍵盤上のベンツ。充実した響きと豊かな情感、一音一音を構築していく論理性と重厚な響きは、まさにドイツ演奏の王道。

イシュトヴァン・ケルテスとフィルハーモニア管弦楽団も、リヒター=ハーザーの世界観に完璧に寄り添った見事な演奏ぶり。重厚・壮大、質実剛健、武骨、豪快、男臭さを絵に描いたような100パーセント、ドイツカラーのモーツァルトだ。

かなりの数に及ぶリヒター=ハーザーのLPレコードが発売されていた。いずれもドイツ音楽の神髄のような名演だったが、時代の好みに合わないせいか、今では殆ど忘れられた存在になってしまった。現在入手できるリヒター=ハーザーの演奏盤もイシュトヴァン・ケルテスとの本盤ベートーヴェン『ピアノ協奏曲第5番《皇帝》』や『ピアノ協奏曲第4番』、カルロ=マリア・ジュリーニ指揮のベートーヴェン『ピアノ協奏曲第3番』、カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との〈ブラームス・ピアノ協奏曲第2番〉ぐらいだ。

安心して身を任せて、いつまでも聴いていられるレコードだ。

Piano Concertos No. 17 In G Major K. 453; No. 26 In D Major K. 537 “Coronation”
by Wolfgang Amadeus Mozart
Hans Richter-Haaser; Philharmonia Orchestra; István Kertész;

Everest (3161 / SDBR-3161)
1962

Tracklist:
A1. Piano Concerto No. 17 In G Major, K. 453: First Movement: Allegro – Cadenza – Tempo I
A2. Piano Concerto No. 17 In G Major, K. 453: Second Movement: Andante – Cadenza – Tempo I
A3. Piano Concerto No. 17 In G Major, K. 453: Third Movement: Allegretto – Finale (Presto)
B1. Piano Concerto No. 26 In D Major, K. 537 (“Coronation”): First Movement: Allegro – Cadenza – Tempo I
B2. Piano Concerto No. 26 In D Major, K. 537 (“Coronation”): Second Movement: Larghetto
B3. Piano Concerto No. 26 In D Major, K. 537 (“Coronation”): Third Movement: Allegretto